周辺分布とそのスペクトルによる漢字の認識

中野康明、中田和男

電子通信学会論文誌 , Vol.56-D [3], pp.146-153 (1973)

あらまし

二次元文字パターン濃度分布の水平ならびに垂直の直交軸上への投影である 周辺分布およびその振幅スペクトルを利用して、印刷漢字の認識を行った。
周辺分布を用いたパターンマッチングにより、丸ゴチック体 30 ポイント印刷活字の教育漢字 500字 (九画以上) 各 1サンプル計 500サンプル、 および角ゴチック体 4号タイプ印字の教育漢字 500字各 16 サンプル計 8,000 サンプルについて認識実験を行い、それぞれ 99.4% および 99.7% の認識率を得た。
周辺分布を用いた認識法の欠点は位置ずれに弱いことであり、 位置ずれに対し不変な特徴量として周辺分布の振幅スペクトルを検討した。 まず認識に貢献する最適周波数帯を定めた。 この周波数帯は、水平および垂直それぞれ各 13チャネルである。
周辺分布の振幅スペクトルの最適周波数帯内成分を用いたパターンマッチングにより、 文字濃度の白黒パターンの変換にさいしての二値化レベルが適当であれば、30ポイント活字で、 99.8%、4号タイプ印字で 99.9% の認識率を得た。また振幅スペクトルを用いた認識手法により、 教育漢字 881字、ひらがな、カタカナ、算用数字の混合セットの認識も可能である。

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First Written Before June 16, 1998
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Transplanted to So-net May 3, 2005
Last Update April 8, 2007

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