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進学振り分け

東大の場合、入学者は入学時には全員 (衛看を除き) 教養学部に在籍し、 教養課程では文科T類、U類、理科T類、U類に分かれていた。
( 現在は文科T類、U類、V類、理科T類、U類、V類である。 当時の衛看=衛生看護学科は教養学部でなく医学部だったと思うが、 教養教育は駒場で一緒だった。 )

3年になるとき、専門学部に振り分けられる。これを進学振り分け、略して「進振」という。 学科によって、人気・不人気があるが、振り分けは成績順である。 人気学科に行くためには成績を上げておかないといけない。

志望学科の人気が高いと、落ちたとき第二志望には人気学科は選べないから、 安全のため最初から第二志望を第一志望に変更することが良くある。 皆が逃げると本来の志望学科の最低点が低くなり、 蓋を開けてから自分も志望しておくのだったと残念がることも多い。

進振は2年前学期の成績で決まるが、学生に対して成績 (平均点) が配布される。 コンピュータもない時代に、小数点以下2ケタまで間違いなく計算したものだ。 最近知ったが、東大教務課にはソロバンの名人クラスが3人もいて、 間違えることはまずなかったらしい。

コース選択

入学したときは、理科T類で10位以内を目指す心積もりだったが、 病気したのでムリに勉強するのは止めた。

ガリ勉はしなかったが、目標の10位以内には僅かに届かない成績だった。 どこにもいるが、学生の平均点を聞き出すお節介な者がいて、 私に順位と平均点を尋ねてきた (恐らくクラスでトップと目されていたので、かなり上位と思ったらしい)。

私の成績を教えたら、別クラスのK君が私より1番上位で平均点は 0.01点上だ、 と教えてくれた。履修している単位数が違うからあり得ないことではないが、 0.01点差には驚いた。

この成績だから、理学部、工学部のどの学科にも行けた。 理論的には、工学部火薬 (定員 5名) や理学部天文 (定員 5名) に成績上位者が集中したら行けない理屈だが、人気が低いからそんな現象はまず起こり得ない。

就職するつもりだったが、一般に就職で有利とされる機械や電気には行くつもりはなかった。 五月祭のときに見学した数理コースが面白そうだったので選んだ。 後から聞いたら不人気コースで、第二志望でも進めたらしい。

医学部進学

私の頃は理科V類はなく、医学部に進学するには理科U類から行くのが標準だった。 医学部の定員は 40名だったと思うが、理科U類で 40位以内に入れば進学圏である。 こう言っては失礼だが、入学試験の合格最低点は理科U類は理科T類よりかなり低く、 医学部が難しいとは全く思わなかった。

ただ、医学部の入試は東大生だけでなく、他大学医学部2年修了 (見込) でも受験できたので、それなりの難しさはあっただろう。

医学部進学には入試があるので、進振は最終決定ではなく、 志望者は医学部進学課程に入ることになる。 医進課程は不思議なところで、成績順にX組、Y組、Z組の三つに分かれていた。

X組は定員 25名で、医学部以外には進学できないから、医学部入試に落ちたら学内浪人である。 しかし、医学部の定員 40名を考えれば、経験的にまず落ちることはないクラスである。

Y組は医進課程志望者で成績がX組に次ぐものである。 医学部受験の権利はあるが、落ちても第二志望に進学できる。 ( ただ、第二志望の学科の定員が既に一杯だったらどうしたのだろう。 経験的に合格・不合格の人数が予想できて、 不合格予想数だけ第二志望学科の定員を空けておいたのだろうか。 )

Z組は医進課程志望者で成績が一番悪い者で、 X組と同じく医学部入試に落ちたらどこにも進学できない。 したがって、医学部に絶対行きたい学生はZ組で学内浪人することになる。

理科V類が新設されたのは、医学部志望者が学内浪人で溜まって来たからではないかと思う。 医学部人気が上がったため学内浪人が急増し、放置できなくなったのではなかろうか。

国際関係論分科

平成17年4月ある方が東大文Vに合格し、 専門課程で「国際関係論分科」を目指すと御連絡を戴いた。 一瞬「国際関係論文科」の書き誤りだろうなどと失礼なことを考えてしまった。

その後「国際関係論分科」の表記をいろいろなところで目にし、 書き誤りなどではなく、教養学部の中のなんとか学科の中の分科、 つまり他の学科のコースに相当するものだと思い至った。 調べたら、教養学部総合社会科学科国際関係論分科というのが正式名称のようである。

思い出して見ると、3年になって専門学部に進学するとき、(現在もそうだが) 法学部や工学部と並んで教養学部教養学科 (専門課程) も一つの選択だった。 教養学科の中が「アメリカ文化とアメリカ語」、「フランス文化とフランス語」、 「国際関係論」、「科学史・科学哲学」などいくつかの分科に分かれていた。

国際関係論分科は外交官試験 (今は公務員試験に吸収されたが) に合格者を多く出すなどで、 人気学科らしい。

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First Written Before January 10, 1995
Transplanted to KSU Before August 26, 2003
Reorganized August 8, 2006
Last Updated August 8, 2006

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