研究テーマの詳細

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アナログ式音声合成

1960年代はフォルマント合成方式が主流だったが、電気試験所 (現電総研) と組んで声道合成に挑戦した。 原理は、声道の中の音波の伝播をアナログ計算機によりシミュレートし、 実時間で解くことにより音声波形を合成するものである。

演算増幅器約 60台 (ラック3架) という化け物を作ったが、演算増幅器の周波数特性が悪く、 すぐ発振するので苦労した。
この装置に共同研究者が Cassy (Configuration Analog Speech Synthesizer) という愛称をつけたら、事業部で気に入った人がいて、商標登録を出願した。 ところが、どこかのレコード会社で Cathy という商標を持っていて、 同じ電気製品で紛らわしい名前だ、と出願は却下されてしまった。 そこで、SMOG (Seidou Mogi Onsei Gousei) を提案したが、 出願以前に研究室内で却下された。
( 少し意味は違うが、声道合成模擬方式の音声合成システムに "CASY (The Configurable Articulatory Synthesizer)" という愛称をつけている研究者がいる。 )

ディジタル式音声合成

新幹線プッシュホン予約に使用される音声合成装置開発チームに参加した。 チームの研究成果により、日立はシステム受注に成功した。

私の研究成果自体は実用システムでは使用されてはいないが、 受注合戦では大きく貢献した筈である。

音声応答装置は聴覚神経?

研究室リーダーが音声応答装置に関する論文を国際会議 (ICA: International Congress on Acoustics) に "Audio Response Unit" という標題で投稿した。 ICA は音響研究全般を包含する非常に権威の高い学会である。

めでたく採録されたのは良いが、 なんと聴覚生理のセッションに入れられていた。 プログラム委員長が発表を分類するとき (論文自体は読んでいないだろうから) 標題から「音響刺激反応神経」に関する論文と思ったに違いない。

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First Written Before January 10, 1995
Transplanted to KSU August 27, 2003
Transplanted to So-net May 4, 2005
Last Update July 11, 2005