情報処理学会論文誌, Vol.43, pp.4051-4058 (2002)
あらまし
本研究の目的は、HMM(Hidden Markov Model)を利用して
高い認識性能を有する実用的なオフライン文字認識システムを構築することである。
現在までに、1次元HMM、2次元HMMを利用した認識システムが提案されているが、
1次元HMMは認識性能が不十分であるため、2次元HMMはモデルが複雑であり、
十分な汎化能力を保証するには膨大な数の学習サンプルを要するため、実用に至っていない。
本研究では、ストローク方向成分を特徴として検出する方向性特徴抽出フィルタを用いることにより、
1次元HMMを利用した認識系の性能向上を試みた。
具体的には4つの連結画素方向成分特徴抽出フィルタを利用しそれぞれフィルタで検出した特徴を利用して
単純な構造の1次元HMM認識系を独立に構築し、
それら4つの認識系を複合して新たな認識系を構築する手法を考案した。
考案手法の評価のため常用手書き英文字サンプル(ETL6)を用いた認識実験を行い、
提案手法による検査サンプルの認識率で、
従来のHMM認識系よりも高い認識率1位正解率98.5%、3位累積正解率99.3%を確認した。
加えて、提案する認識系構築手法は比較的単純な構造のため、
認識速度の高速化や認識システムの構築に必要となる学習データ数の抑制にも効果が期待できる。
これらの結果から、提案するオフライン文字認識手法は、実用的な手法として有効と考える。
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First Written July 10, 2003
Transplanted to So-net May 3, 2005
Last Update April 8, 2007
© Yasuaki Nakano 1998-2007